超メモ帳(Web式)@復活

小説書いたり、絵を描いたり、プログラムやったりするブログ。統失プログラマ。


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焚き火の終わり。或いは「障害者殺せ」の考察など。

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さて、「自己責任の透析患者は殺せ」で大炎上し、その釈明の過程で「殺せというのはきつめのスラング」「適時に改行しているのでコピペしても自分の著作物」と迷言を発して周りを失笑と困惑の渦に巻き込んだ長谷川豊氏だが、どうやら決着は付いた様である。


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テレビ大阪読売テレビなどで次々と番組降板に追い込まれている。記事に対する本人の謝罪は無いがこれはTKOということで良いだろう。現状、長谷川氏を採用しているTV局で残っているのはTOKYO MXぐらいだが、こちらは炎上耐性が強そうなのでそう簡単には折れないだろう。まぁ今ぐらいの強火で炙っていたら、本人がどうにかなってしまうかもしれないが、ここまで追い込まれても障害者を殺せと言ったことへの謝罪をちらりとも伺わせないぐらいなので、ウェルダンのこんがり肉になってもらおう。


とりあえず、僕は長谷川豊氏のヲチからは一旦降りる事にする。胸のつかえはおりた。障害者を殺せという発言が当事者である僕を激怒させたのだが、社会的制裁は下っただろう。あんな暴言を元にした議論が社会で通用するはずがない。暴力を元にした闘争は暴力的な解決法でしか解決されない。マスメディアに所属して社会的立場があるはずの人間が暴言を吐けば、スポンサーにクレームが付くのは当然の理である。後のことはtwitterヲチャー達に任せれば良い。僕がするべきは思想的な落穂ひろいぐらいだ。


こんな論説を見かけた。今回の「障害者殺せ」の長谷川氏の発言の真意を考察する上で腑に落ちた。

先日、「私たちは複雑さに耐えて生きていかなければならない」というタイトルのブログを書いたのだけど*1つまりはそういうことで、結局世の中のたいていの炎上・失言・暴走した正義ってのは、複雑さに耐えられずに音を上げて本来複雑である問題を単純化して極論を振り回していることを咎められているのであって、一部が正しいのは当たり前といえば当たり前、というか一から十まで本当に何から何まで全部間違ってることを言うのって小学校に行って一応の読み書きを習得してしまった人間にとってはそっちの方が逆によっぽど難しい。今回の件だって例えば「医療費なんとかしないとヤバイ」という問題意識自体は別に間違ってない。ただ、普通に喋ってたら間違ってない部分がいくらか含まれるのは恐ろしく当たり前、そんなことがいちいち加点になると思ったら大間違いだ。


謝ったら死ぬ病の人に「間違ってない部分もある」のは当たり前 - ←ズイショ→


社会保証の負担がどんどん増えていっている。このままでは財政が破綻するかもしれない。どうにかしないといけない。ここまでは一般人の思考である。そこから短絡的に「障害者殺せ」と結びついていったのが長谷川豊氏の発言なのである。複雑な問題なのだから、複雑さに耐えて丁寧な議論を尽くすべきなのだ。問題を提起したその一点で長谷川氏にも一分の理はあるかもしれないが、極論を放り込んで議論どころではなくしてしまったということで全部が台無しなのだ。物事が複雑であるということはみんな知っている。そこを極論の一点突破で全部、論破したつもりになっている辺りで駄目なのである。


極論で始まった議論は極論の連鎖しか産まない。こんな事で重要な問題を語れるはずはない。短絡的に暴力的な極論に走るのではなく、「複雑さに耐えて」丁寧な提言から始める必要があるはずなのだ。語るべきものたちで共有される最低限のフレームというのはあるはずだ。まぁ、フレームから外れた所に答えがあるということもよくある。だが、その答えにしたって丁寧な検証と建設的な議論によって導き出す事ができるはずなのだ。これは推理ゲームではない、チェス盤をひっくり返すぜ!などという答えは通用しない。参加者の大半を納得させるだけの議論の丁寧さと、意見の有益性が必要なのだ。問題の答えをただ当てるだけというのは子供でも出来る。そこから納得させるだけの思考の深さを見せないといけない。


ま、小難しい事を言っているけど、要は暴言から有益な議論が生まれることは無いってことだ。派手さはないかもしれないけど、複雑なことも議論していこうと言う人達が居るはずだ。見た目は複雑で理解できないかもしれないけど、複雑なことを複雑さに耐えて議論する場所というのも必要なのです。池上彰が凄いなぁとおもうのは、複雑なことを単純に教えてくれる事なんだけど、万事全て単純に解釈できる事ばかりではない。複雑さに耐えて、思考すべき事もあるということです。


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